こんにちは。
皆さん、相続登記って、どんなものだと思われますか?
登記なので、当然、土地や建物などの不動産に関する権利を相続した場合のお話です。
今まで、不動産を所有されている親族の方が亡くなられ、ご自身やご家族が相続人になったという経験をお持ちの方は、なにがしかの形で「相続登記」について考えることがあったのではないでしょうか。いえ、そうであって欲しい、と願います。
何故こんなことを言うかというと、実は、相続登記は放置されるケースがとても多いからです。
ご自身が住まわれる予定の住宅ですとか、売却してお金に換える予定のあるような価値のある不動産でしたら別ですが、そこに住む人がいなかったり、売却予定も無いような不動産を相続したというような場合、他の相続手続きで疲れてしまい、登記手続きは後回しにされてしまいがちです。
相続税の申告はしなければいけないと分かっているからするけれど、登記は放置するのは何故か。それは、現行の法律上「相続登記の義務はない。」、つまり「相続登記はしなくてもおとがめがない。」からです。
そのため、気がついたら、何代も前の、とうに亡くなったひいひいおじいちゃんで登記が止まっている、といった土地が、日本中に大量に存在することになってしまいました。
このような土地が、現在日本全体で、九州の広さに匹敵するくらい存在している状況です。
こういう土地は、現在の所有者が登記簿から判明しないことから、「所有者不明土地」とよばれ、大きな問題となっています。
例えば公共事業用地として取得したい土地があるが、所有者不明のため、誰に連絡を取っていいか分からずに買収がなかなか進まないとか、東日本大震災の復興の妨げになってしまっていることもあります。
相続というのは、何代も放置すればするほど、言い方が正しいか分かりませんが、相続人がねずみ算式に増えていき、3代くらい下ると、一般の方ではもはや手の打ちようがないほどになることもあります。私の経験上、3~4代ほどで80人くらいの相続人がいるケースがありました。
そうなると、相続に必要な書類を集めるだけで、1年ではすまないくらい時間がかかります。そうこうしているうちに、相続人のうち高齢の方が亡くなられたりして、またその次の代に相続していくことになるので、なかなか手続きが終わりません。
大変になればなるほど、必要に迫られなければ放置されていくため、「所有者不明土地」はどんどん増えていきました。そして国ももうこの状況を看過できなくなり、相続登記の義務化に向けての話し合いが行われています。
義務化ということで、一定の期間内に申請しない場合には罰則を科すことも検討されています。
しかし司法書士としては、義務化云々よりも、「子孫に面倒を残さないため」に、相続登記をご自身の代できちんと申請して欲しいと、いつも思っています。
終活をするとき、自分の目の前の財産もそうなのですが、先代から相続登記を完了していない不動産がないかどうか、今一度確認してみてください。