公正証書遺言

こんにちは。
前回は自筆証書遺言と、その保管制度についてお話をしました。
この制度は、費用は安くすみますし、法務局の保管制度が始まったこともあり、自分が意思能力にも体力にも問題ない場合にはお勧めと書きました。
しかし、意思能力に問題がなくても、体に麻痺があり、自筆することが極めて困難である場合には自筆証書遺言の方式自体をとることができませんし、自筆が可能でも身体的に問題があり寝たきりであったり、入院しているなどの事情がある場合には、出頭を要件とする法務局の保管制度を利用することができません。
そういう場合に有効なのが、公正証書遺言という方式です。
遺言の内容をある程度決めておいて、公証役場に出向き、公証人と打ち合わせをして、公証人が作成した遺言を証人2人の前で遺言者に読み聞かせ、遺言者にこの内容で良いか、と確認します。
そうして出来上がった遺言は、公証役場に保管されます。
この方法であれば自筆が困難であっても作成できますし、寝たきりなどの事情で公証役場に出向けない場合、公証人が出張してくれます。
費用はかかりますが撤回も可能ですし、公証役場に保管されるので、相続開始後の検認手続きももちろん不要です。
しかし、関わる人数や手間も大きいため、費用はそれなりにかかります(遺産の額にもよりますが数万円)。
また、内容が漠然としている場合に、あらかじめ司法書士などの専門家に相談してまとめておくには、その費用もかかります(これは自筆証書遺言で専門家に相談したときも同様です)。

前回の内容を踏まえ、ここまで見てきたなかで言える自筆証書遺言のメリットは、費用が安価で済むこと、法務局の保管制度を利用すれば検認手続きが不要になったこと、などが挙げられます。
対して公正証書遺言は、自筆証書遺言に比べると、費用は高くなるが、本人が出頭できない場合は出張してくれますし、自筆が困難な場合でも作成できることが挙げられます。

しかしながら、我々専門家が、相談者の方に「遺言をしたいが、自筆証書と公正証書、どちらが良いか?」と聞かれたら、ほとんど「公正証書が良いと思います。」と答えると思います。私もそうです。
それは何故か?長くなりましたのでまた次回、その点についてお話したいと思います。