相続が変わる①経緯

こんにちは。司法書士の松山です。
今年、令和2年は、「民法改正の年」と言っても過言ではありません。
相続に関する規定(相続法)は2019年1月から順次施行され、取引に関する分野(債権法)は2020年4月1日に大きく変わりました。
今回の改正で、特に皆様が気になるような規定を、折に触れブログでお話していきたいと思っています。
さて、早速、相続法改正の規定について少しお話ししたいと思います。

相続法改正について、今回の大きなポイントとして、
・いわゆる「嫡出でない子」の相続分が、平成25年に「嫡出子」と等分に改められたことに伴い、配偶者の保護を手厚くしたこと
が挙げられます。

「嫡出でない子」とは、婚姻関係にない男女の間に産まれた子のことをいいます。反対語が「嫡出子」です。
例えば、夫が、妻以外の女性との間に子をもうけ、認知した場合、その子は夫の「嫡出でない子」となります。それに対し、その夫が妻との間にもうけた子は、「嫡出子」となります。
以前は、「嫡出でない子」は、その父(上記夫)の相続の際、その父の子であるということは「嫡出子」となんら変わりありませんが、その相続分は「嫡出子」の半分とされてきました。
しかしながら、この法律が制定されたのは昭和22年のこと。時代は移り変わり、家制度を重んじられた当時よりも、個人が尊重される時代へと変化してきています。そこで、最高裁判所は平成25年に、「嫡出でない子」の相続分を「嫡出子」の相続分の半分とする民法第900条4号ただし書きの規定を、憲法第14条(法の下の平等)に反して無効だと判断しました。
 そして、この規定の該当部分は削除され、「嫡出でない子」も、「嫡出子」も、子という立場において、相続分は平等となりました。
 子の平等は非常に喜ばしいことです。子は自分で親を選んで産まれてくることはできません。たまたま婚姻関係にない男女の間に産まれたというだけで、同じ人を父または母にもつ者の間で不平等が生じるのは、やはり不合理です。
 しかしながら、苦々しく感じるのは配偶者です。そこで、この規定の改正を契機に、残された配偶者の生活への配慮を盛り込んで相続法制を見直すべき、という問題提起がなされたのです。
 今日は、改正の経緯のお話で終わってしまいました。次回以降、折に触れて、改正された新たな制度をお話しして参ります。